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長与堂崎遺跡(岡郷堂崎)

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[ 長与堂崎遺跡 ]
 『堂崎遺跡』は、町内最古の遺跡で町の最北端に位置しています。今から約2〜3万年以上も昔にさかのぼる「旧石器時代」の終わり頃の石器群を含む遺跡です。日本に人間が住み始めたのは、約3万年前からといわれていますが、そのような「何万年」という言葉だけでは、なかなか想像のつかない太古の長与町の風景について、少しイメージを描いてみましょう。
 「旧石器時代」の頃は、氷河時代とも言われ、寒冷な「氷河期」と温暖な「間氷期」とが交互におとずれた時期だといわれています。氷河期は、極地に近い状態で、氷河が発達してその分海の水が少なくなりました。このきびしい気候は少なくとも4回にわたっておとずれました。その間の間氷期は、逆に氷河が溶けてその分海の水が多くなりました。このような寒暖のくりかえしによって、地球上では海水面が上がったり下がったりし、これに伴って陸地が拡大したり縮小したりしました。動植物にとってみれば、単純に想像してみてもそこで生きて行けるか行けないかという、とても大きな影響があったと言えます。
 では、「堂崎遺跡」の周辺の地形はどうだったのでしょう。現在は、琴ノ尾岳の北斜面を下って大村湾に突出した小半島(堂崎の鼻)になっています。周囲の海岸は、約10mの高さの海蝕崖が発達しており、先端部は休日ともなると好釣場ともなっています。しかし、2〜3万年前は、最後の氷河期にあたって大村湾には海水が入っておらず、盆地であったと推測されています。当時の堂崎遺跡は、その盆地をゆったりと見渡せる、日当たりの良い小高い台地であったと考えられています。
 旧石器時代の生活は、一定の場所にとどまらず移動しながら、狩猟と採集によって生活をしていたと考えられているのが一般的です。ハンター集団が食料や獲物を求めて引越ししながら、テント生活していたようなものだったと言えるでしょう。旧石器時代に相当する遺跡を発掘すると、ヒントとなる出土遺物は、数百から数千もの石器(あるいは石器を作るときにできた剥片のみである場合が多く、ともなう遺構(建物等の跡など)については、礫群(自然礫を意図的に寄せ集めたもの。火を使った可能性がある)などがほとんどです。引越しの多い生活には、持ち物はできるだけ少ない方が良かったのでしょうか。とにかく他の時代の事に比べて、解らない事が多い時代です。
 狩猟道具は生活のために、とりわけかけがえのないものだったのでしょう。旧石器時代の石器は、後に続く縄文時代や弥生時代の技術よりも石器をつくる技術が優れていたという見方があります。石器を作るには、材料となる原石から剥片をはがし取って、いい感じに使えそうな剥片をえり抜き、さらに手を加えて目的の石器を作ります。限られた材料から、いかに効率よく、石器に加工するのに優れた剥片をはがし取るかが腕の見せ所です。ともあれ、石器づくりに優れた技術が求められたということは、少なくともそれだけ生活にとって石器の重要度が高かったのでしょう。
 堂崎で見つかった旧石器時代の石器は、次の様な例があげられます。石器自体「どのように使われたか」は研究者の最大の関心事の一つで、色々な見方や考え方もあるようですが、一般的な捉え方で紹介しましょう。
ナイフ形石器: 日本の旧石器時代に最もポピュラーな石器の一つで、使用方法としては、「突く」「切る」「削る」が考えられています。
台形石器: ほぼ台形の形をしており、柄に取り付けて矢先として利用したり、骨などに彫った溝に数個を埋め込んで利用する組み合わせ道具として用いられたと考えられます。
彫器: 彫刻刀形石器または彫刻刀ともいいます。一般的には、骨や木の軸に溝を彫る道具加工に関わっていたと推測されています。
細石刃・細石刃核: 長さ3〜4センチ、幅数ミリの小型の石刃。骨・木・角・牙などで作られた軸の側縁に数個をはめ込んで使用。細石刃核は、細石刃をはぎ取った母材です。
 堂崎で用いられている石材は、黒曜石と安山岩が主です。こうした火山性のガラス質の石材は、比較的規則的な割れ方をするので、打製石器を作るのに向いています。また黒曜石は、伊万里市腰岳のもの(主に闇夜のような漆黒色)や、松浦市牟田のもの(主に鈍い灰色)など、原産地の異なる石材がもちこまれており、昔の人々の活動範囲の広さがうかがえます。

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