○長崎県長与町における個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準

令和6年8月30日

策定

個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)に基づき、町の機関が行う処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第5条第1項の規定による長崎県長与町の機関における審査基準は、次のとおりとする。

なお、本基準は、随時、適切な見直しを行っていくものとする。

第1 開示決定等の審査基準

法第82条の規定に基づく開示又は不開示の決定(以下「開示決定等」という。)は、次により行う。

1 開示する旨の決定は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されていない場合

(2) 開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が記録されている場合であって、当該不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき。ただし、この場合には、不開示情報が記録されている部分を除いて開示する。

(3) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上、特に開示する必要があると認めるとき。

2 開示しない旨の決定は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求に係る保有個人情報の全てが不開示情報に該当し、全て不開示とする場合(不開示情報に該当する部分を、それ以外の部分と容易に区分して除くことができない場合を含む。)

(2) 法第81条の規定により開示請求を拒否する場合

(3) 開示請求に係る保有個人情報を、町の機関において保有していない場合、法第124条第2項に該当する場合又は開示請求の対象が法第60条第1項に規定する保有個人情報に該当しない場合

(4) 開示請求の対象が、法第124条第1項に該当する場合又は他の法律における法の適用除外規定により、開示請求の対象外のものである場合

(5) 手数料が納付されていない場合、保有個人情報の特定が不十分である場合等、開示請求に形式的な不備がある場合

(6) 権利濫用に関する一般法理が適用される場合

3 前2項の判断に当たっては、保有個人情報に該当するかどうかの判断は「第2 保有個人情報該当性の判断基準」に、開示請求に係る保有個人情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は「第3 不開示情報該当性の判断基準」に、部分開示をすべきかどうかの判断は「第4 部分開示に関する判断基準」に、裁量的開示をすべきかどうかの判断は「第5 裁量的開示に関する判断基準」に、保有個人情報の存否を明らかにせずに開示請求を拒否すべきかどうかの判断は「第6 保有個人情報の存否に関する情報についての判断基準」に、権利濫用に当たるかどうかの判断は「第7 権利濫用に当たるか否かの審査基準」に、それぞれ基づき行う。

第2 保有個人情報該当性の判断基準

開示請求の対象が法第60条第1項に規定する保有個人情報に該当するかどうかの判断は、長与町情報公開条例(平成13年条例第17号。以下「情報公開条例」という。)第2条第2号に規定する公文書に記録されているものかどうかにより行う。

第3 不開示情報該当性の判断基準

開示請求に係る公文書に記録されている個人情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は、次の基準により行う。なお、当該判断は、開示決定等を行う時点における状況に基づき行うものとする。

1 開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報(法第78条第2項の規定により読み替えて適用される同条第1項第1号。以下このことを単に「法第78条第1項第○号」と記載する。)についての判断基準

本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報(法第78条第1項第1号)については、開示することにより深刻な問題を引き起こす可能性があるかどうかについて検討を行い、具体的ケースに即して慎重に判断するものとする。

2 開示請求者以外の個人に関する情報(法第78条第1項第2号)

(1) 開示請求者以外の個人に関する情報(法第78条第1項第2号本文)については、次のアからオまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「個人に関する情報」は、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報であって、次に該当するものをいう。ただし、事業を営む個人の当該事業に関する情報は含まない。

(ア) 個人の属性、人格や私生活に関する情報

(イ) 個人の知的創作物に関する情報

(ウ) 組織体の構成員としての個人の活動に関する情報

イ 「その他の記述等」は、氏名及び生年月日以外の記述等であって、次に該当するものなどをいう。

(ア) 個人別に付された番号その他の符号等

(イ) 映像及び音声(特定の個人を識別することができる場合に限る。)

ウ 「特定の個人を識別することができる」とは、当該情報の本人である特定の個人が誰であるかを識別することができる場合をいう。

エ 「他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。」には、当該情報のみでは特定の個人を識別できない場合であっても、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができる場合が該当する。照合の対象となる「他の情報」は、次に該当するものをいう。

(ア) 公知の情報

(イ) 図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報

オ 「開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」には、匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連するなど、開示すれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものが該当する。

(2) 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報(法第78条第1項第2号イ)については、アからウまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「法令の規定」は、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 何人に対しても等しく当該情報を開示することを求めている規定

(イ) 特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定

イ 「慣行として開示請求者が知ることができ」る情報には、事実上の慣習として知ることができ、又は知ることが予定されているものが該当する。

ウ 「知ることが予定されている情報」には、実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されているものが該当する。

(3) 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報(法第78条第1項第2号ロ)には、開示請求者以外の個人に関する情報であって、不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回る場合が該当する。

なお、現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。

(4) 公務員等の職及び職務の遂行に係る情報(法第78条第1項第2号ハ)については、ア及びイを踏まえ、判断する。

ア 「職務の遂行に係る情報」には、公務員等が行政機関その他の国の機関、独立行政法人、地方公共団体又は地方独立行政法人の一員として、その担当する職務を遂行する場合における当該活動についての情報が該当する。このうち、その職名と職務遂行の内容は、不開示情報とはしないこととする。

イ 公務員の氏名は、法第78条第1項第2号イに該当する場合に開示する。同号イに該当する場合とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(ア) 人事異動の官報への掲載その他行政機関等により職名と氏名を公表する慣行がある場合

(イ) 行政機関等により作成され、又は行政機関等が公にする意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名が掲載されている場合

(ウ) 上記のほか、開示請求に対して開示することを事前に取り決めている場合

3 法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報(法第78条第1項第3号)の判断基準

(1) 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)に関する情報(法第78条第1項第3号本文)については、次のアからウまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「法人その他の団体等」には、株式会社等の会社、一般財団法人、一般社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等が該当する。

イ 「法人その他の団体に関する情報」は、次のいずれかに該当する場合をいう。

(ア) 法人等の組織や事業に関する情報

(イ) 法人等の権利利益に関する情報

(ウ) 上記のほか法人等との関連性を有する情報

(エ) 法人等の構成員に関する情報

ウ 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であって、法人等に関する情報と同様の要件により、事業を営む上での正当な利益等について不開示情報に該当するかどうか判断するものとする。

(2) 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報(法第78条第1項第3号ただし書)には、当該情報を不開示にすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することにより保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し、後者の利益を保護することの必要性が上回る場合が該当する。

なお、現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。

(3) 当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(法第78条第1項第3号イ)については、アからエまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「権利」には、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切が該当する。

イ 「競争上の地位」には、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位が該当する。

ウ 「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等、法人等又は事業を営む個人の運営上の地位が該当する。

エ 「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の権利の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に行う。

なお、この「おそれ」には、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性を必要とする。

(4) 任意に提供された情報(法第78条第1項第3号ロ)については、アからオまでの事項を踏まえ、判断する。ただし、開示しないとの条件が付されていても、現に当該情報が公になっている場合、同種の情報が既に開示されているなどの事情がある場合には、不開示情報に該当しないものとする。

ア 「行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供された情報」には、行政機関の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供申出があった情報であって、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件が提示され、行政機関において合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合が該当する。

イ 「行政機関の要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は該当しないが、行政機関の長が報告徴収権限を有する場合であっても、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合が該当する。

ウ 「開示しない」には、法や情報公開条例に基づく開示請求に対して開示しない場合が該当するだけでなく、第三者に対して当該情報を提供しない場合も該当する。

エ 「条件」は、次のいずれかに該当する場合をいう。なお、これらは双方の合意により成立する。

(ア) 行政機関の側から開示しないとの条件で情報の提供を申し入れる場合

(イ) 法人等又は事業を営む個人の側から行政機関の要請により情報は提供するが、開示しないでほしいと申し出る場合

オ 「法人等又は個人における通例」には、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は個人が属する業界における通常の取扱いが該当する。

4 国の安全等に関する情報(法第78条第1項第4号)の判断基準

国の安全等に関する情報については、次の各号の事項を踏まえ、判断する。

(1) 「国の安全が害されるおそれ」には、国の重大な利益に対する侵害のおそれ(当該重大な利益を維持するための手段の有効性を阻害され、国の安全が害されるおそれがあると考えられる場合を含む。)が該当する。

(2) 「他国若しくは国際機関」(以下「他国等」という。)には、日本国が承認していない地域、政府機関その他これに準ずるもの(各国の中央銀行等)、外国の地方政府又は国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織(アジア太平洋経済協力、国際刑事警察機構等)の事務局等も該当する。

(3) 他国等との「信頼関係が損なわれるおそれ」には、他国等との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすようなおそれ及び次に掲げる場合など、日本国との関係に悪影響を及ぼすおそれが該当する。

ア 開示することにより、他国等との取決め又は国際慣行に反することとなる場合

イ 他国等の意思に一方的に反することとなる場合

ウ 他国等に不当に不利益を与えることとなる場合

(4) 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」には、他国等との現在進行中の又は将来予想される交渉において、我が国が望むような交渉成果が得られなくなる、日本国の交渉上の地位が低下するなどのおそれが該当する。

(5) おそれがあると町の機関が認めることにつき相当の理由がある情報についての判断に当たっては、次のことを踏まえて行う。

ア 開示することにより、国の安全が害されるおそれ、他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがある情報については、一般の行政運営に関する情報とは異なり、その性質上、開示・不開示の判断に当たり、高度の政策的判断を要するとともに、日本国の安全保障上又は対外関係上の将来予測としての専門的・技術的判断を必要とする。

イ 町の機関は、「おそれ」を認定する前提となる事実を認定し、これを不開示情報の要件に当てはめ、これに該当すると認定(評価)を行う。これを行うに当たっては、高度の政策的判断や将来予測としての専門的・技術的判断を必要とする。

5 公共の安全等に関する情報(法第78条第1項第5号)についての判断基準

公共の安全等に関する情報については、次の各号を踏まえ、判断する。

(1) 「犯罪の予防」には、犯罪の発生を未然に防止することが該当する。

(2) 「犯罪の鎮圧」には、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止すること及び犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させることが該当する。

(3) 「犯罪の捜査」には、捜査機関において犯罪があると思料するときに、公訴の提起などのために犯人及び証拠を発見・収集・保全することが該当する。

(4) 「公訴の維持」には、提起された公訴(検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める意思表示をすることを内容とする訴訟行為をいう。)の目的を達成するため、終局判決を得るまでに検察官が行う公判廷における主張・立証、公判準備などの活動が該当する。

(5) 「刑の執行」には、犯罪に対して科される制裁を刑といい、刑法(明治40年法律第45号)に規定された死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収、追徴及び労役場留置の刑又は処分を具体的に実施することが該当するほか、保護観察、勾留の執行、保護処分の執行、観護措置の執行、補導処分の執行、監置の執行、過料、訴訟費用、費用賠償及び仮納付の各裁判の執行、恩赦など刑の執行に密接に関連するものも該当する。

(6) 「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」は、次に該当する場合をいう。

ア 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行に支障を及ぼすおそれ

イ 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)以外の特別法により、臨検、捜索、差押え、告発等が規定されているものであって、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関して支障を及ぼすおそれ

ウ テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又はシステムへの不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれ

エ 被疑者・被告人の留置・勾留に関する施設保安に支障を生ずるおそれ

(7) 「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」に該当するかどうかの判断に当たっては、開示することにより、犯罪の予防、鎮圧、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報の性質上、開示・不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を必要とする。

6 審議、検討等情報(法第78条第1項第6号)の判断基準

審議、検討等情報については、次の各号を踏まえ、判断する。

(1) 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人(以下「国の機関等」という。)の内部又は他の機関との相互間における審議、検討又は協議に関する情報には、次に掲げるものに関連して作成され、又は取得されたものなどが該当する。

ア 国の機関等の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程において、具体的な意思決定の前段階としての政策等の選択肢に関する自由討議等

イ 国の機関等の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程において、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議及び打合せ並びに決裁を前提とした説明及び検討

ウ 審議会等又は行政機関が開催する有識者等を交えた研究会等における審議及び検討

(2) 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」には、開示することにより外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合が該当する。

(3) 「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」には、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを開示することにより、誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれが該当する。

(4) 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」には、尚早な時期に、あるいは事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれが該当する。

(5) 第2号から前号までにおける「不当に」には、審議、検討等の途中の段階の情報を開示することの必要性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものであることが該当する。なお、これに該当するどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、開示することによる利益と不開示にすることによる利益とを比較衡量した上で行う。

(6) 審議、検討等に関する情報については、国の機関等としての意思決定が行われた後であっても、次の場合には、該当するかどうかの判断を行うこととする。

ア 当該意思決定が全体として一つの政策決定の一部の構成要素である場合

イ 当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合

ウ 当該審議、検討等に関する情報が開示されると、国民の間に混乱を生じさせる場合及び将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合

7 事務又は事業に関する情報(法第78条第1項第7号)についての判断基準

(1) 「次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」(法第78条第1項第7号本文)については、アからウまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」の判断は、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかにより行う。この判断に当たっては、事務又は事業の根拠となる規定・趣旨に照らし、個人の権利利益を保護する観点からの開示の必要性等の種々の利益を衡量した上で行う。

イ 「支障」の程度は、名目的なものでは足りず実質的なものを必要とする。

ウ 「おそれ」の程度は、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性を必要とする。

(2) 「監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」(法第78条第1項第7号ハ)については、アからクまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「監査」には、主として監察的見地から、事務又は事業の執行及び財産の状況の正否を調べることが該当する。

イ 「検査」には、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることが該当する。

ウ 「取締り」には、行政上の目的による一定の行為の禁止、又は制限について適法、適正な状態を確保することが該当する。

エ 「試験」には、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことが該当する。

オ 「租税」には、国税、地方税が該当する。

カ 「賦課」には、国又は地方公共団体が、公租公課を特定の人に割り当てて負担させることが該当する。

キ 「徴収」には、国又は地方公共団体が、租税その他の収入金を取ることが該当する。

ク 「正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」は、具体的には、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報であって、次のいずれかに該当する場合をいう。

(ア) 事前に開示すると、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となる場合

(イ) 事前に開示すると、行政客体における法令違反行為又は法令違反には至らないまでも妥当性を欠く行為を助長するほか、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがある場合

(ウ) 事後であっても、監査内容等の詳細についてこれを開示すると今後の法規制を免れる方法を示唆することになるような場合

(3) 「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(法第78条第1項第7号ニ)については、アからエまでの事項を踏まえ、判断する。

ア 「契約」には、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることが該当する。

イ 「交渉」には、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るために協議、調整などの折衝を行うことが該当する。

ウ 「争訟」には、訴訟、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づく審査請求その他の法令に基づく不服申立てが該当する。

エ 「国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」は、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が一方の当事者となる契約等であって、次のいずれかに該当する場合をいう。

(ア) 取得等の交渉方針や用地買収計画案を開示することにより、適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれるおそれがある場合

(イ) 交渉や争訟等の対処方針等を開示することにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがある場合

(4) 「調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(法第78条第1項第7号ホ)は、具体的には、調査研究に係る事務に関する情報であって、次のいずれかに該当する場合をいう。

(ア) 知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報などで、一定の期日以前に開示することにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれがある場合

(イ) 試行錯誤の段階の情報で、開示することにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある場合

(5) 「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(法第78条第1項第7号ヘ)には、具体的には、人事管理に係る事務に関する情報であって、勤務評定や人事異動、昇格等の人事構想等を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれが該当する。

(6) 「独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ」(法第78条第1項第7号ト)には、企業経営という事業の性質上、企業経営上の正当な利益を害するおそれが該当する。

第4 部分開示に関する判断基準

開示請求に係る行政文書について、法第79条に基づき部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、次の基準により行う。

1 不開示情報が含まれている場合の部分開示(法第79条第1項)については、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合に、部分的に開示できるかどうかの判断を行う。ただし、次のいずれかに該当する場合には、全体を不開示とする。

(1) 当該保有個人情報のどの部分が不開示情報に該当するかという区分けが困難な場合

(2) 当該保有個人情報のどの部分が不開示情報に該当するかという区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合

(3) 電磁的記録に記録された保有個人情報において既存のプログラムで容易に区分して行うことができない場合(電磁的記録をそのまま開示することを求められた場合に限る。)

(4) 上記に準じる場合

2 個人識別性の除去による部分開示(法第79条第2項)については、次の事項を踏まえ、判断する。

(1) 「当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等及び個人識別符号の部分を除くことにより、開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」は、次のアの場合には該当し、イの場合には該当しない。

ア 個人を識別させる部分を除いた部分について、開示しても個人の権利利益を害するおそれのない場合

イ 作文などの個人の人格と密接に関連する情報や、個人の未発表の論文等開示すると個人の正当な権利利益を害するおそれがある場合

(2) 「当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する」とは、個人識別情報のうち、特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分は、個人の権利利益を害するおそれがない限り、法第78条第1項第2号に規定する不開示情報に該当しないため、法第79条第1項の部分開示の規定を適用して開示することである。

第5 裁量的開示に関する判断基準

法第80条に基づく裁量的開示を行うかどうかの判断は、法第78条第1項の規定が適用され不開示となる場合であっても、なお開示する必要性があると認められる場合かどうかにより行う。

第6 保有個人情報の存否に関する情報についての判断基準

開示請求に対し、保有個人情報の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否すべき場合(法第81条)は、次に掲げる場合に行うこととする。

1 開示請求に係る保有個人情報が実際にあるかないかにかかわらず、開示請求された保有個人情報の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合

2 開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性が結合することにより、当該保有個人情報の存否を回答できない場合

第7 権利濫用に当たるか否かの審査基準

権利濫用に当たるか否かの判断は、開示請求の態様、開示請求に応じた場合の行政機関の業務への支障及び国民一般の被る不利益等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるものであるか否かを個別に判断する。

行政機関の事務を混乱又は停滞させることを目的とする等、開示請求権の本来の目的を著しく逸脱する開示請求は、権利の濫用に当たるものとする。

第8 訂正決定等の審査基準

法第90条第1項に基づく訂正請求に基づき、保有個人情報の訂正が妥当かどうかの判断は、次の基準により行う。

1 訂正決定又は訂正をしない旨の決定は、訂正請求の対象が、法第90条第1項各号に該当しない場合には行わない。

2 行政機関の長は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で訂正を行う。

3 評価・判断の内容そのものについての訂正請求があった場合には、訂正をしない旨の決定を行う。

第9 利用停止等の審査基準

法第98条第1項に基づく利用停止請求に基づき、保有個人情報の利用停止が妥当かどうかの判断は、次の基準により行う。

1 利用停止決定又は利用停止をしない旨の決定は、利用停止請求の対象が、法第90条第1項各号に該当しない場合には行わない。

2 利用停止決定は、保有個人情報(法第90条第1項各号に掲げるものに限る。)について法第98条第1項第1号又は第2号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号法」という。)第30条第1項に基づき読み替えて適用する場合を含む。)に該当する事実があると行政機関の長が認めるときに行う。ただし、利用停止請求に理由があることが判明した場合であっても、利用停止を行うことにより保護される本人の権利利益と損なわれる公共の利益との比較衡量を行った結果、後者が優るような場合には利用停止をしない旨の決定を行う。なお、番号法第31条第1項において、番号法第23条第1項及び第2項に規定する記録に記録された特定個人情報に関しては、利用停止請求に係る法の規定は適用しないものとされていることに留意する。

長崎県長与町における個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準

令和6年8月30日 策定

(令和6年8月30日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第4節 情報の公開・保護等
沿革情報
令和6年8月30日 策定