○長与町議会議員によるハラスメントの防止に関する条例

令和7年3月25日

条例第16号

ハラスメントは、他者に対して行われる極めて悪辣な行為であり、ハラスメントに対する無自覚によって相手に被害を与える「人権侵害」である。

また、ハラスメントは、基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つけ、議会活動及び議会運営に支障を来し、議会の社会的信用並びに信頼を失うことにつながる。

身分、職位及び職責にかかわらず、全ての者が互いに人格を尊重し、相互に信頼し合うことで、その能力を十分発揮することができるようにするため、長与町議会(以下「町議会」という。)は、ハラスメントを防止し、その根絶に努めることを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、町議会におけるハラスメントを防止するために必要な事項を定めることにより、長与町議会議員(以下「議員」という。)によるハラスメントを防止することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント及びその他のハラスメントをいう。

(2) パワー・ハラスメント 議会、職場又は地域における優越的な関係を背景として行われる言動であって、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動(以下「政治活動等」という。)上必要かつ相当な範囲を超え、当該言動の相手とされた者(以下「相手方」という。)に身体的若しくは精神的苦痛を与え、又は職務等の環境を害するものをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 政治活動等において、性的な言動を行うことにより、相手方に身体的若しくは精神的苦痛を与え、又は相手方の職務等の環境を害するものをいう。

(4) マタニティ・ハラスメント 政治活動等において、妊娠、出産、育児、不妊治療等に関する言動を行うことにより、相手方に身体的若しくは精神的苦痛を与え、又は相手方の職務等の環境を害するものをいう。

(5) その他のハラスメント 前各号に掲げるもののほか、政治活動等において誹謗中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動を行うことにより、思想の自由、表現の自由等に配慮しても、なお、一般に許容される限度を超えて、相手方に身体的若しくは精神的苦痛を与え、又は相手方の職務等の環境を害するものをいう。

(議員の責務)

第3条 議員は、公職に参画する者として高い倫理観が求められること及びハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、基本的人権を侵害するとともに、その能力の十分な発揮や良好な職務等の環境の確保を阻害する行為であることを自覚し、自らの言動を厳しく律しなければならない。

2 議員は、ハラスメントとなる言動を行っている者があるときは、その者に対し当該言動は厳に慎むべきである旨を指摘するよう努める等、率先して町議会からハラスメントを根絶するよう取り組むものとする。

3 議員は、町民全体の奉仕者としての立場を自覚し、何人に対しても前2項の規定に準じた行動に努めるものとする。

(議長の責務)

第4条 長与町議会議長(以下「議長」という。)は、議員によるハラスメントに係る相談があった場合には当該相談に係る事実関係を調査し、必要に応じてハラスメント防止のための措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(相談窓口)

第5条 議長は、議員によるハラスメントに関する相談に対応するため、議会事務局内に相談窓口を設置する。

(相談事案への対応)

第6条 議長は、前条に規定する相談(以下「相談事案」という。)があったときは、相談事案におけるハラスメントに関する事実を確認するため、相談事案に係る被害を申し立てる者(以下「申立人」という。)、申立人がハラスメントを行ったとする者(以下「被申立人」という。)その他関係者からの聞き取り等、必要な調査を行うことができる。

2 議長は、前項の調査を行うに当たり、必要と認めるときは、ハラスメント調査会(以下「調査会」という。)を置き、当該調査を行わせるものとする。この場合において、前項の規定は、調査会の調査権限について準用する。

(ハラスメント調査会)

第7条 調査会は、議長の付託に応じ、当該付託に係る相談事案におけるハラスメントの事実に関する報告書を作成するものとする。

2 調査会の委員は、議会運営委員会の委員で構成する。

3 調査会の委員の任期は、議長に対し第1項の報告書を提出する日までとする。

4 前条第1項の規定は、調査会の調査について準用する。

(調査事案関係者の義務)

第8条 申立人、被申立人その他の相談事案の関係者は、申立人又は被申立人の利益を不当に侵害しないため、相談事案に関する事項(相談を行い、又は相談が行われている旨を含む。)を公にしてはならない。

(調査への協力)

第9条 申立人、被申立人その他関係者は、第6条第1項(第7条第4項において準用する場合を含む。)の調査に協力するよう努めなければならない。

(調査の結果の通知等)

第10条 議長は、第6条第1項に規定する調査を終えたとき、又は第7条第1項に規定する報告書を受けたときは、申立人及び被申立人に対し、その結果を通知するものとする。

2 前項の規定による通知を受けた被申立人は、当該通知を受けた日から起算して7日を経過する日までの間、議長に対し、文書で弁明の申立てをすることができる。

3 議長は、前項の申立てがあった場合は、必要な措置を講ずるものとする。

(被害防止措置)

第11条 議長は、第6条第1項の調査を終え、又は第7条第1項の報告書の提出を受け、町議会による対応が必要と認めるときは、被申立人に対し、注意を喚起し、ハラスメントをしないよう求める等の被害防止措置を講ずるものとする。

2 前項の被害防止措置は、長与町議会議員政治倫理条例(平成30年条例第31号)第10条の規定を準用する。この場合において、同条第1項中「対象議員」とあるのは「被申立人(長与町議会議員によるハラスメントの防止に関する条例第6条第1項に規定する被申立人をいう。次項において同じ。)」と、「政治倫理基準等に違反している旨の委員会審査結果」とあるのは「同条に規定する調査においてハラスメントの事実が確認された場合」と、同条第2項中「政治倫理基準等に違反した」とあるのは「ハラスメントの事実が確認された」と、「対象議員」とあるのは「被申立人」と、同条第3項中「第6条第1項に規定する代表者」とあるのは「長与町議会議員によるハラスメントの防止に関する条例第6条第1項に規定する申立人」と読み替えるものとする。

(プライバシーの保護)

第12条 議員は、申立人及び調査の対象となった関係者のプライバシーの保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(取組状況の公表)

第13条 議長は、相談の受付及び対応の状況その他この条例に基づく取組の状況を公表するものとする。

(議長職務の代行)

第14条 議長が調査の対象となったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象となったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。

(議長及び議員の除斥)

第15条 議長及び議員は、申立人、被申立人又は当事者となった相談事案については、第6条に規定する調査、第7条に規定する調査会の委員、及び第11条第2項に規定する被害防止措置の決定に参与することができない。ただし、議会の同意があったときは、会議に出席し、発言することができる。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。

(長与町議会議員政治倫理条例の一部改正)

2 長与町議会議員政治倫理条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

長与町議会議員によるハラスメントの防止に関する条例

令和7年3月25日 条例第16号

(令和7年4月1日施行)